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2008年6月20日 (金)

車の中でかくれてキスをしよう

「死んじゃおうかな・・」

ぽつりと亜希は、政明の視線からそらしながらつぶやく。
「・・え?・・そんなこと・・」
亜希は戸惑う政明の眼を伺うように軽く微笑む。
「少し信じちゃった?」

「・・・」
戸惑ったままの政明の顔からまた逸らすように、亜希は悪戯そうにまた微笑む。
「冗談・・・て訳でもないんだけどね」
政明はやっと口を開く。
「疲れてるんだよ・・。」
二人は黙って車のフロントガラスの向こうに広がる星空を見続けた。

亜希と政明は中学の同級生だった、といっても亜希は地味な政明の印象は薄らいでいた。しかし政明は、クラスで人気者だった亜希の可愛らしい笑顔を、憧憬の想いとともによく覚えている。
 政明は、亜希が大学を卒業したあと、海外商社の仕事をしていると人づてに聞いていた。そんな亜希を見かけたのは、夕焼けの染まった駅のロータリーだった。

朝も夜もなく働き続ける今の仕事と、ギスギスした人間関係に、疲れ切った亜希の瞳にうっすらと涙がにじむ。
政明に出来ることは、ただ黙って亜希の気持ちを受け止めるだけ。
しかしそれが亜希には優しい温もりとなって、心がゆっくりとほぐれていく。

町を見下ろせる丘に停車した車の中で。
二人はただ黙ったまま夜のしじまの時間を刻んでいた。

Mr.children/ 車の中でかくれてキスをしよう
(この動画はダウンロードに時間がかかるみたいなので、一度再生をクリック下した後、一時停止にしておいてすべてダウンロード完了後に再生することをお薦めします・・・。20分以上かかるみたい。m(_ _)m)

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