« 湯快な休日~りらっくす! | トップページ | 何も言う事なしです、大笑いしましょ!「ザ・マジック・アワー」 »

2008年6月 9日 (月)

死刑囚と連れ子の2枚の絵が心を救う「休暇」

「生きることにした。- - - - - 人の命とひきかえに。」
死刑執行の支え役として、代償として得た休暇に新婚旅行へでかける・・。

出てくる人たちは皆不器用な人たちだ。
主人公の刑務官 平井に、死刑囚 金田。言葉少なく自己表現が苦手だ。
平井の結婚相手は、バツイチと6歳の息子を背負った美香、その息子 達哉は母の再婚に心と口を閉ざす。
死刑囚 金田の妹も、兄に面会に来ても一言も交わさず顔も見ず立ち去る・・・そして嗚咽の涙・・・。

休暇として得た新婚旅行。
旅先で、「支え役」がフラッシュバックし、公衆トイレで嘔吐する平井の苦悩。
「そんなの立ち会っちゃったら、どんな子供ができるか・・」
彼の顔は曇ったままだ。

・・・・
真面目な大人しい死刑囚が処刑される時の切なさ、苦しさ。
西島英俊の好演が光る。
言葉でのコミュニケーションを苦手とするのか、彼はただひたすら鉛筆画に熱中する。
それが彼の自己表現かのように。
何か言いかけても「・・いや、いいです・・」と言葉も重い。
彼は最後の一言も文字にできず、ただ〝白紙〟を平井に託す。

その金田に対をなすかのように、結婚相手の連れ子の達哉。
達哉は〝新しい父を迎える〟という現実から逃げるかのように、ただ黙々と絵を描く。

そして、二人はそれぞれ違った形で平井に絵を贈る。金田は平井の結婚記念としての絵を。達哉は新しい父と一緒に家族3人でいる絵を。この絵の重みはとても深いものだと思う。

死刑執行ということの任務に当たる刑務官。
彼らは長い月日を死刑囚と接触し、情も移ってくる。
刑務官は語る「人は必ず変わる」
そして次のようにも。
「死刑囚を善良な人間に更正してから死刑処刑をする不条理」
今回の金田死刑執行にあたった刑務官の気持ちは、まさに皆同じ苦しみを持った。

私は死刑をやむを得ないと考えている。しかし実際にその死刑を執行する刑務官の苦悩をもまた知らない。「辛い仕事だ」とけっして簡単に言えないほどの。

たしかにこの映画は重く暗い。しかし魂に深く刻まれる映画なのだ。
この映画は上映される映画館が限定されているけど、できたら多くの人に触れて貰いたいな、とも思う。

「休暇」 9点 ★★★★☆

Eiga_kyuka01

|

« 湯快な休日~りらっくす! | トップページ | 何も言う事なしです、大笑いしましょ!「ザ・マジック・アワー」 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 死刑囚と連れ子の2枚の絵が心を救う「休暇」:

» 映画「休暇」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
事件後の取り巻きの中に目立つのはメイドさん・・秋葉原にトラックで突っ込み、ダガーナイフを使って内臓をえぐる・・凄惨な痛ましい事件の犠牲者に黙祷・・ 山梨日日新聞創刊135周年と山梨放送開局55周年の記念作品のこの映画は、そう、「それでもボクはやっていない」の... [続きを読む]

受信: 2008年6月15日 (日) 18時51分

« 湯快な休日~りらっくす! | トップページ | 何も言う事なしです、大笑いしましょ!「ザ・マジック・アワー」 »