重いキャリアーを引きながら芭蕉の足跡を辿る旅へ一日目(7/26)
行ってきました、東北の旅。
それは芭蕉の足跡を辿る旅とも言える。
「新・十和田・奥入瀬・八幡平・松島・中尊寺2日間」7月26~27日
宮城・岩手・秋田・青森と、東北4県を足かけ2日でまわる急ぎ足の旅である。
前日、勤務先の冷えすぎ冷房で、すっかりと風邪引きモードになってしまい、体調最悪で迎えた今回の旅行(涙)。今回は阪急トラピックスの主催ツアー。新幹線で東北新幹線古川駅(宮城県)まで行ってその後がバスの移動となる。
古川駅で降りるとすぐにバスに乗り換えて岩手県平泉へ移動するので、1日目の昼食は各自にて。新幹線車中で家人と、車窓から曇空の栃木、福島の風景を眺めながら駅弁を食べる。新幹線で2時間、埼玉、栃木、福島を過ぎて宮城県に入り、ちょうど12時をまわる頃に古川駅に到着。重いキャリアバッグを引きずりながら、新幹線駅を出る。
「夏草や兵どもが夢の跡」(平泉町)
古川駅でツアー一行はバスに乗り換え、東北自動道を一路平泉へ。外を出ると暑いのか、それとも風邪で熱っぽいのか。車窓からの風景を見るともなしに見ながら、ふわっとした熱っぽい体を座席で休めた。キャリアバッグが重く感じるのは、体調が悪い所為なんだな。そんなことをぼんやりと考えていた。
最初の目的地は中尊寺。奥州藤原氏が3代にわたる栄華の象徴がここにある。
中尊寺の入り口 月見坂から参内へ登る道は、その両脇に歴史を感じる杉の大木がそびえる。最初は坂の傾斜もきつかったが、徐々に緩やかになった頃に、弁慶堂、そして薬師堂、本堂と、いくつか格式ある社がその参道に点在する。
「五月雨の降のこしてや光堂」(中尊寺金色堂)
そして月見坂参道から少し道をそれたところに覆堂(おおいどう)が見えてきた。
覆堂とはその名の通り、国宝「金色堂」を外から覆い守る社。その中に入ると包まれたように、金色堂が眩いばかりにその姿を現した。
輝くばかりの金箔に飾られたその姿は、当時の奥州藤原氏の権力を伺い知れる。その奥に配置された仏像の数々に、藤原氏の独自の曼荼羅思想が興味深い。
覆堂を出ると、松尾芭蕉の像が紫陽花の花に囲まれていた。その姿がとっても自然体で美しい。深い杉並木の中に蝉の声が響き渡る。熱っぽいせいか、音抜けのしないその耳に蝉の声が遠く聞こえるようだ。
夏の暑さを避けるかのようにバスに乗り込んだツアー一行は、次の目的地「八幡平(はちまんたい)」へと向かう。八幡平は岩手と秋田の県境にそびえる山群。高原地を縫うように走るスカイラインをバスは進む。車窓から見える風景は雄大な自然がずっと続くのが絶景。遠く山の中腹から湯気が見える。後生掛温泉だと、添乗員さんは説明してくれた。このあたりは八幡平温泉郷として、遠く有名な玉川温泉もあるそうだ。
バスは大沼と呼ばれる湿原地帯に駐まり、散策となる。沼地をぐるりと囲む散策路を歩く。沼のさざ波も優しく、鳥の鳴き声も可愛らしく、そして自然群生の植物たちがとても美しい。和み癒してくれる、そんな場所です。
時間も早いもので、陽射しは暮れかかりつつあった。木洩れ日が美しく、散策路を演出してる。ここまで長い移動時間を車中で休めたせいか、それともこの空間が体に良いのか、少し体調も良くなって楽しむことが出来た。
そしていよいよバスは本日の宿泊地、十和田湖へと向かう。十和田湖は青森と秋田とを跨る大きな湖。バスは山中の道を一路十和田湖へと向かう。・・・しかし行き交う対向車が全然来ない。10分以上対向車とすれ違うことがなかった時間もあったと思う。一番前の席に陣取ってバスの広い車窓をぐったりと眺めながら、(すごい土地だな~)と漠然と思い続けた。
大沼から1時間半以上かけて夕闇にうっすらと浮かぶ十和田湖が見えてきた。ツアー乗客も安堵の声が洩れ、会話の声も明るさが増してきた。やがてバスは本日の宿泊先の十和田湖レイクビューホテルに到着した。時間は7時半近く。フロントで鍵を預かると、部屋へ重いキャリアバッグを引きながら向かう。洋室ツインの部屋にはいると、(ああ、疲れた~)と洋ベッドにドタッと体を預ける。
「ええっと、冷蔵庫はここっと・・」
家人は冷蔵庫の場所を確認し、そそくさとキャリアバッグを開けると・・・。
出てくるわ出てくるわ、キャリアバッグからビール缶。その数6~7本。
(おぉぉぉ・・・、重いはずだ。オレはカミさんのビール缶を持って歩いていたのか・・)
下戸の私は一挙に疲れが出てしまった。
一方ご機嫌の家人は冷蔵庫にビールを収納し終わると、安心して一服して
「さぁ食事行こうか!」
なんでもかんでも仕切る将軍様の家人はこのいう時は楽である。考えるのも面倒な時は、家人に従っていればいいのだから。(っていつもか・・)
でもお腹も空いたのでしっかりと食べよう。食事会場ではバイキング。特に鍋のバイキングが特色。きりたんぽ鍋、せんべい汁鍋などの土地の有名鍋が並ぶ。バイキング内容も若干関東地方とは異なる感じ。それにご飯が美味しかった、秋田こまち。家人も一人ビールを飲みながら、すっかりご機嫌麗しいご様子、いや良かった良かった。
バイキングを堪能し部屋に帰ると、再びぐったりとベッドに横になる。家人はホテルの温泉に行った。その間一人ぼんやりと時間を過ごす。まもなくお風呂から戻った家人は、「ホレ!」と言って私にドリンク剤を渡す。口では心配の言葉は一言も発しないが、男気のある態度だ。(それで良いのか?)
そして本人はご機嫌に冷蔵庫から冷えたビールを出して呑み始める、一人晩酌。私はベッドの中でふわふわとした熱のある状態で今日一日のことをぼんやり思い出している。
家人のビール缶のタブを開けるパチンという音と、ビールを美味そうに喉を鳴らし呑みほす家人の姿が、静かな十和田湖の夜にいつまでも続くのだった。
(To Be Continue・・・)
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