女性であること、それを楽しむこと。「肩ごしの恋人」
「肩ごしの恋人」唯川 恵
第126回直木賞受賞作。
つねに自分に正直に、恋に生きようとする るり子、恋にも仕事にも熱くなれずにクールな萌。二人の女性は27歳、子供の頃からの幼なじみで親友。両極端な生き方の二人を、淡々と描いている。
るり子の生き方は、最初はむかつく女の代表みたいに感じたのに、途中からユーモラスにおかしく、最後になるともう、同情したくなる位に笑える・・。
そんなるり子にいつも振り回されながらも、自分の生き方は守っている萌、時には自由奔放になろうとするけど・・・。
その二人の前に現れた、15歳の家出少年の崇。
いつのまにか、その3人の奇妙な共同生活が始まった。
本文にこのように書かれている。
「女には二つの種類がある。自分が女であることを武器にする女か、自分が女であることを弱点に思う女か。このふたつの女はまったく違う生き物だ。」
作者の言いたい事はこれに尽きると思う。そしてこれを、軽く、軽く。ユーモラスに書く事で読む人をこの世界に引き込んだ。
バツ3の女,歌舞伎町のゲイ、妻子持ちの男、それらが二人の女を彩る。意外な結末も淡々と、そして大人の女の友情(腐れ縁)ってヤツを微笑ましく描ききった。いい本だと思う。
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