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2008年9月28日 (日)

不条理の死の宣告に〝生きる〟尊さを知る「イキガミ」

Ikigami001 かつての軍国主義、ファシズムを連想させるような国家繁栄維持法。
その国家繁栄維持法によって、千人に一人選ばれる若者の命を国が奪うというのが、この映画の世界。
なんという理不尽で恐怖の世界。

この世界の子ども達は、小学校入学の時に予防接種と一緒に体内にカプセルを埋め込まれる。体内に時限爆弾を仕込まれるようなものだ。
政府発行の死亡予告証、通称“逝紙(イキガミ)”を受け取った者は、24時間後にカプセルが体内で破裂し・・。

Ikigami003 =死の宣告=
国家繁栄維持法が第二次大戦戦中の治安維持法なら、逝紙は戦場へ駆り出される赤紙(召集令状)なのかもしれない。突然の死の宣告を受けた若者が、打ち拉がれ でも残された24時間を赤裸々に生きようとする姿が堪らなく切なく心に痛い。

不条理の世界に憎しみすら感じながら映画に見入っていった。
Ikigami002映画は逝紙を受け取った3人の最後の24時間をオムニバス形式で綴る。その逝紙を配達する公務員の主人公 藤本は、自己の感情を殺すかのように淡々と、その死の見届け人としての仕事をこなそうとするが・・。

受け取った3人の若者。
ようやく日の目を見られそうなミュージシャン、政治家を親に持つ引きこもり、そして盲目の少女の面倒を見るチンピラ。

Ikigami010 それぞれのリアリティある生き様=演技が、命の尊さを訴えてきた。
不条理故に怒りも感じる設定だけど、現実にこれに近い国が無いわけではない。彼らもまた生まれてきた国を怨み憎みながらも従わざるをえない、人間の罪深さ、やりきれなさを心から感じる。

でも。単に悲惨なだけの映画ではない。
それぞれの突然の死と別れ、残された人たちの生き様もまた心に残る。
盲目の少女(成海璃子)が窓を開いて見たその光景は、とても暖かい愛情を感じた。

テーマ曲「みちしるべ」とっても印象に残る良い曲です。

「イキガミ」 7.5点 ★★★☆

Ikigami_1_1b

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