天才二人のTOB駆け引きに息を呑む、そのクールさと脆さ「ハゲタカ」
かつては「ハゲタカ」と恐れられたファンドマネージャー「鷲津」は、閉鎖的日本マーケットに失望し、海外で隠遁生活を送る。そんな彼の前に、かつての盟友・柴野が現れ、日本有数の自動車メーカー・アカマ自動車を買収危機へ手を貸して欲しいと・・。
敵対TOBを仕掛けてきた「劉」率いるファンド会社とは何者か、その溢れる資金力に戸惑いながらも、辿り着いた相手の巨大な正体に敗北感。しかしそこから鷲津のマネーゲームが仕掛けられる。情報と相手の裏をかく展開、もはや誰もが劉の勝利を確信した時・・。
最近民放では多くなってきたTV連続ドラマの映画化。NHKとしては珍しいが、良質の硬派作品となった。NHKの好むプロフェッショナリズムのひとつの答え=練り上げた技ではなく、生き様として=がある。派手なアクションがなくても緊迫感溢れる展開に息を呑む。
成熟した経済社会に蔓延するマネーゲーム。ファンド系のTOB攻防、自由経済という怪物化した生物を操りながらもそのうねりに飲み込まれていく。実はTVドラマ見てなかったので人間関係が分かり難い部分も。「ハゲタカ」鷲津と「赤いハゲタカ」劉、天才二人のクールさの影にある脆さが余韻を残す映画。
「アカマ(自動車)の中でね、
派遣社員を扱う部署って人事部じゃ
ないんだ・・。調達部なんだよ。
俺たちは部品と同じなんだ。」
「人生の悲劇はふたつしかない。
ひとつは金のない悲劇、
もうひとつは金のある悲劇。」
「ハゲタカ」 8点 ★★★★
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