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2009年6月18日 (木)

3人のプロの殺し屋と一人の民間人のせめぎ合い。グラスホッパー(伊坂幸太郎)

かけがいのない妻の命を許せない交通事故で奪われた。その犯人は、なぜか警察も手が出せない謎の会社の放蕩息子。教師の鈴木は、妻の復讐を果たすために、職を辞してその組織への侵入する。そこで目にしていくモノは。。

鯨、蝉、押し屋。3人のプロの殺し屋と、妻の復讐に燃える鈴木とが、重なり絡み合いながら、疾走していく。
「押し屋とは何者なのか?」
鯨、蝉、鈴木の話が、交互に切り替わりながらも、結末へとたたみ込んでいくそのスピード感。それは3本の小さな支流が、やがて大きな本流へとうねりを上げて合流していく圧倒感ともいうべきか。

話の内容は道徳観のない「殺し屋」の世界ながらも、鈴木と亡き妻、蝉と岩西、鯨と亡霊。それぞれの言葉のやりとりの妙さ、おかしさ、含蓄に、つい引き込まれていく。

最近映画化された「重力ピエロ」の他、ラッシュライフ、死神の精度なんかの著書で人気のある伊坂幸太郎だけど、その中でも異色の1冊だと思う。読後はなんとなくやりきれなさと、妙な納得感、疾走の後の完結感、なんかを感じる1冊。読んでて薦められる本じゃないけど、読んでも損のない1冊だと思うな、きっと。

「グラスホッパー」伊坂幸太郎著 7点 ★★★☆

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