速く走ることから強く走ることへ変わるとき「風が強く吹いている」
ある日、大学の先輩ハイジ(小出恵介)に声かけられ、格安のオンボロアパート「竹青荘」(通称アオタケ)に入居することになったカケル(林遣都)。個性豊かなアパート住人たちは全て大学の先輩・同級生。そしてカケルの歓迎会の場でハイジが10人の住人全員の前で宣言をする。「箱根に行こう!」
「竹青荘」は実は陸上競技部だったのだ。カケルの走る才能を知って勧誘したハイジは全員の世話をしながら10人集まるのを何年も待ち続けたのだ。それでも1年もない期間で予選突破しなければ箱根駅伝なんて夢の夢。しかしそれぞれの個性派揃いの住人も意外な才能を見せていく。そして一歩ずつ・・。
かつてはエリートランナーだったが致命的な故障をしたハイジと孤高の天才ランナーカケルを中心に、素人ながらも異才を見せる8人の仲間が箱根駅伝の出場を目指すスポーツサクセスストーリー。リーダーであるハイジのひたむきな箱根駅伝への情熱が、全員の気持ちを熱く動かしていく。
ハイジ役の小出くんの演技が光る。包み込むような暖かさと仲間への信頼と情熱が自然と伝わってくる。オチコボレそうになる仲間に「君の代わりはいない、君が変わるんだ。」と語る言葉が印象的だった。そしてカケル役の林くんの走る姿の美しさ。ホントに速いと思わせるそのフォーム。
過労で倒れたハイジがベッドからカケルに問いかける。
「長距離選手に対する一番のほめ言葉は何か分かるか?」
「・・速い?」
「俺は『強い』だと思う」
ユキ(森廉)が復路の坂道を疾走、後方ながらもその集団からグングンと飛ばして抜け出たその時呟く。(これがカケルが体感している世界だ。カケル、おまえはずいぶん、さびしい場所にいるんだね。)
普段は殆ど箱根駅伝をTVで見ていない自分だけど、きっと来年の正月、箱根駅伝をテレビで観ればこの映画で心揺さぶられたことを想い出すだろう。
佳作!観る時はハンカチを忘れずに。
「風が強く吹いている」 8点 ★★★★
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