捜し物は何ですか、取り戻せない物ですか、たんたたん。「今度は愛妻家」
売れっ子カメラマンだったがここ1年仕事もせずにグータラ亭主の北見俊介(豊川悦司)に手を焼いている妻さくら(薬師丸ひろ子)。さくらが箱根旅行に出かける日も自分の飯の心配したり、モデルの子を家に入れたりと。しかしその箱根旅行にでかけたさくらが何日も帰ってこなくなり不安になる俊介だった・・。
ダメ亭主の俊介に健康オタクのさくら。亭主のダメッぷりと妻のお節介が時には笑いを誘う。これにおかまの文ちゃん(石橋蓮司が見事!)、俊介の助手の誠(濱田岳)と芸能界デビューを目指す蘭子(水川あさみ)の5人が織りなす人間ドラマ。前半の淡々としたテンポから後半「あること」から話は一転する。
伏線ちりばめた脚本の見事さ。例えば最初の部屋が片付けずに汚れているシーン。「だったらお前が片付けてくれよぉ」そしてオカマの文ちゃんが蘭子に食ってかかる「私より絶対長生きしなさいよ!」という言葉。さくらの白い服装も。これらが後半につながる。さよならの前に妻を撮る俊介の手が優しく切ない。
北見夫妻の物語は「大切な人」への想い。誠と蘭子の挿話は「大切な夢」への憧憬。文ちゃんの「自分の心のため大切な人たち」との訣別。それぞれがなにが大切なのか思い悩み心を痛める。かなでさん、なごみさん絶賛、絶対泣きの1本と身構えて行ったので劇場では泣かずに我慢したけど心に残る名作です。
今度は愛妻家 8点★★★★
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