つげ義春の愛した風景・湯治場を訪ねて(2)「川古温泉」
湯宿温泉からさらに山あいに足を伸ばし、三国街道を新潟方面へ。猿ヶ京温泉のある赤谷湖から道を右にそれて進むこと約6km。赤谷川の渓谷に面した、大自然の中の一軒宿が出てきた。周りは自然に囲まれたまさに秘境。川古温泉「浜屋旅館」はそんなところにあるのだ。
ここ川古温泉は昔から
「川古の 土産はひとつ、杖を捨て」
と言われている。ここの湯治場に来た時は杖をついていた老人も、帰る時はその杖が不要になっているという意味。そうしてこの湯治場は愛され続けてきたのだ。
男女別の内湯から外に出ると大自然に囲まれた野趣溢れる露天風呂がある。広さは約30畳という大きな露天風呂には滝のように源泉がたたき付けられ水音が辺りに響き湯気が朦々と立ち上る。他には一切の音はなし。深呼吸をすると酸素濃度の濃い空気を独り占め気分だ。だまって目を閉じると源泉の音だけが響く。
この温泉には源泉そのままの温度の微温湯がある。湯槽のふちに木枕が置かれていて、これに頭を乗せて湯に身体をまかせると胎児のような気持ちでゆったりと浮く気分が味わえる。ここでは5時間もこのままいる人がいるとか。自分たちも木枕に頭を置いて目を閉じると言葉無く黙ってじっと身を任せていたのさ。
川古温泉 浜屋旅館
群馬県利根郡みなかみ町相俣2577
TEL0278-66-0888
泉質 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性温泉)
源泉掛け流し
http://www3.kannet.ne.jp/~kawafuru/
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