吾妻の自然と癒しを訪ねて(5)積善館
千尋が迷い込んだ不思議な世界にある、八百万の神々が集う湯宿、湯婆婆のいる油屋。映画「千と千尋の神隠し」で描かれた和風旅館のような油屋は、いくつかの宿がイメージになっているそうだが、その一つとされる、ここ積善館。積善館は、宮崎駿監督が常連となっていた宿としても有名だそうだ。
ひなびた温泉街を歩くと見えてくる赤い欄干が印象的な橋。その先に見えるのが築300年以上ともいわれる積善館本館だ。日本最古の温泉宿として県の重要文化財に指定されている。橋の鮮やかな朱色と長年守られてきた木造建築の磨かれた黒のコントラストが美しく、別世界への架け橋のように見える。
一度は訪ねてみたいと思っていた宿、今回は宿泊はしなかったが日帰り入浴で有名な温泉に入ってきた。日帰り入浴は10時~で大人1000円だけど、ここで昼食を一緒にとると割引となり、名物の温泉釜揚げうどん(1,300円)と入浴セットで2,000円は300円のお得。ま、釜揚げうどんが1,300円が高いという意見も・・。
大浴場「元禄の湯」は昭和5年に作られたという歴史あるもので、高い天井と白壁にくっきりと大きなアーチ型の窓が並ぶ中に、5つの湯船が並んでいる。いずれも湯船の底から源泉が涌き、掛け流しとなって湯床に流れている。その広々とした空間はまさに大正ロマネスク様式。
名湯として有名な四万温泉の中でもその泉質の良さをうたわれているここ積善館。さすがに圧巻。温泉に浸かるだけではなく、この浪漫的情景を楽しみながら、のんびり湯船に浸かることが出来る。各湯船についている蛇口には硫酸ナトリウムの固まりがついていて、泉質の濃さが伺える。
ここには蒸湯という個室?が2つ備えられていた。隠し扉みたいな木の扉をがたがた開けるとモワッと湯気が外に溢れてきた。中は個室サウナ状態で、入ってみると暗くて最初は落ち着かないが目を閉じているととっても心地良い。赤外線サウナのように人工的ではなく自然な温泉熱でのサウナなので身体に優しい感じ。
この元禄の湯とは別に、岩風呂という混浴風呂もあるが、こちらは女性には敷居の高いお風呂、四万の源泉掛け流しだけれど、元禄の湯と同じ源泉で内湯でそれほど特筆するお風呂でもないので、無理に入らなくて「元禄の湯」で懐古を愉しむ方がお薦めかな。
古い本館なら1泊2食で6,000円くらいで泊まれるので、機会があったら泊まってみたい宿かな。入浴後に歴史を感じる館内の施設や美しい庭を見させてもらって、千尋がそこにいて働いているような世界を楽しむのも良いかも。
積善館
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万温泉
電話:0279-64-2101
泉質:ナトリウム・カルシウム-
塩化物硫酸塩温泉
| 固定リンク
最近のコメント