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2010年7月17日 (土)

能「殺生石」で幕開ける秀作だが最後の曲が残念・・「必死剣鳥刺し」

336273view006 江戸の代、桜の季、海坂藩の城中にある能楽堂で能「殺生石」が演じられていた。藩士一同が顔を揃え、鑑賞したその直後に事件が起こる。藩士兼見三左ェ門豊川悦司)は突然、藩主の側室連子関めぐみ)を殺めてしまったのだ。騒然とする城内で、兼見は静かに剣を置き、その身を大人しく取り押さえられる。

336273view007 当の兼見も周囲の者も斬首だと覚悟していたが、その沙汰は1年の閉門蟄居という寛大な処分であった。「なぜ斬首にならぬ?」納得のいかぬ兼見。彼は亡妻の姪 里尾池脇千鶴)の献身的な世話を受けながら、蟄居の蔵で頭を駆けめぐるのは、藩主の愚政、それを色で操つる妾の横暴、そして亡き妻との日々・・。

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336273view014 藤沢周平の時代小説「隠し剣」シリーズの傑作と名高い「必死剣鳥刺し」。「なぜ兼見は側室を切ったのか」その経緯は、徐々に映画の中で語られていく。静かに淡々と。その一コマ一コマが当時の武士の質素な生活を生々しく感じる見事な情景描写で語られ、そしてクライマックスの大殺陣と秘剣へと繋がるのだ。

336273view015 剣豪 兼見三左ェ門の武士の苦悩をトヨエツが見事に演じる。兼見と同様に、側室に翻弄され乱れた藩政をなんとかしようと藩主に直訴する、農民の味方でもある別家吉川晃司)の演技も見逃せない。藩のことを想い、農民のこと想うことでは通じるはずの二人の剣豪が、その使命を賭して剣で闘う悲劇は熱い。

336273view003 蟄居を命じられ自己の内面を鋭く見続ける兼見を、密かに想う里尾はある人にこう語る。「おじ様は死に場所を探している」そしてそれはある日突然やってくる。秘剣と言われた鳥刺しを兼見は静かにこう語った。「その秘剣が抜かれる時、遣い手は半ば死んでいる」最後に命の輝きと引き替えに秘剣は輝きを見せた。

336273view001 映画は能「殺生石」の迫力ある映像からいきなり殺める現場へと移っていく。殺生石とはかつて美女に化け上皇にとりいった妖怪狐が殺され、石になったという逸話から来ている。久しぶりの時代劇を堪能した。ただ、最後のエンドロールで流れる場違いなJ-POPで、せっかくの映画が台無しに・・。本当に残念。

必死剣鳥刺し 6.5点★★★☆ (エンドロール曲で-1点)

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かなでさん 人生ままならず~必死剣鳥刺し~

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