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2012年2月の3件の記事

2012年2月20日 (月)

人は原点に戻ってくる、明日の翼を求め。『麒麟の翼』

夜の日本橋をふらふらと歩くスーツ姿の男性。
通りかかった巡回の巡査はそんな様子を見かけ酔っ払いと察し
「大丈夫ですかぁ!?」と呼び掛ける。
しかし男はばたりと倒れ、走り寄った巡査はその男に刺さったナイフと
流れる出血を見て青ざめる。

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腹部を刺された状態で8分間も歩き続け、東京・日本橋の麒麟の像の下で
息絶えた
青柳中井貴一)。
一方、容疑者の男 
冬樹(三浦貴大)は、刺された青柳のかばんを持って
草陰に隠れていたところ、巡回の巡査に尋問を受け、そのままに逃亡中、
そして飛び出した道路で車と接触事故に遭い意識不明の重体となる。
容疑者・被害者ともその真相を語る口を失ってしまった。

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事件は、容疑者が男を刺して、そのまま逃走して事故にあった・・と。
そういうことで捜査本部は解決しようとした。

しかし。
日本橋署の
加賀恭一郎阿部寛)は事件を捜査するにつれ、関係者の
知られざる一面に近づいていく。

被害者はなぜ麒麟の像まで歩いたのか、
なぜ被害者は縁もゆかりもない日本橋にいたのか。
七福神巡りは誰がしていたのか。
うその証言をしていたのは。
被害者と容疑者の接点の真実は。
凶器となったナイフになぜ指紋が拭き取られていたのか。

多くの謎を残したまま、交錯する謎がひとつの雲のように溶け込んでいく時・・。

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東野圭吾のミステリー小説「加賀恭一郎シリーズ」の「新参者」の
映画化ということだけど、新参者は観たことがなかったので、
全然予備知識なく映画を観た。ん、思った以上に楽しめました。

捜査をしていく中で出てきた色々な謎が、まったく接点をもたないかのように
思われた。しかしそこには被害者・容疑者ともに掘り下がっていく歴史があった。
そしてそれらは麒麟の翼の像のもとにたどり着く。、

「行き詰った時には原点に戻れ。」

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「死者のメッセージを受け取るのは生きる者の義務」
その言葉は、加賀刑事だけではなく、ある人物にも大きく影響を与えた。

ミステリーとしては、それほど奇抜なものではなくオーソドックスな展開。
でもそこにある人間模様・人の心が見ごたえある作品でした。

「間違った公式を教えられた子供は、一生それを使って、同じ間違いをしてしまう。」

この言葉とその意味をあらためて考えさせられる。
もし『あの時』に正しい公式を教えてあげてたら、
被害者も容疑者も不幸な結末にならなかったはず。

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辿り着いた「麒麟の像」、そこからは翼をもっても飛び立てない。
頭上にはその頭を押さえつけようと交差する自動車道路が幾重にも重なる。

でも。
そこから一歩踏み出していけば、大きな空が見えてくるはずだしね。
生きる者は、死んだ者の気持ちとともに新しい出発をしていかないと。

『麒麟の翼』

Kirintubasa

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2012年2月 8日 (水)

彼の信じた正義は誰のためのもの。「J・エドガー」

FBI初代長官ジョン・エドガー・フーバー。

初代長官に20代で任命されたエドガー(レオナルド・ディカプリオ)は、
50年もの間、長官として君臨した。
それは、彼が愛するアメリカの平和と秩序を守るための選択。
彼は自ら悪と決めつけた相手、彼の邪魔をする危険のある相手を
50年に渡り、その権力で潰してきた。

 

・・彼はその過去の歴史を振り返り、語り始めた。

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それは・・。

指紋から犯罪者を割り出す近代的捜査の導入から始まり、州を超えて
犯人捜査を可能にしたリンドバーグ法の制定等、彼が遺した輝かしい
功績の裏にある、恐喝と盗聴を繰り返した屈折した禁断の歴史
でもあった。

相手は共産主義者、犯罪者にとどまらず、時としてその刃は彼を排斥
しようとする歴代の大統領・政治家へも向けられた。
それは彼と彼の愛するFBI組織がアメリカを守っていくるために必要だと
「正当化」した高貴であったはずの信念が、結局は自己愛・自己保全に
行きついたのだった。
自分の地位を揺るがす敵に対して、被害妄想が肥大化してく過程は
倒錯的であり病的でさえある。

そんなエドガー長官をクリント・イーストウッド監督は善とも悪ともせずに
淡々と描き、観る者にその判断を委ねた。

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大きな盛り上がり(クライマックス)というものは本作にはない。
ただそこにイーストウッド監督の語りたかった「アメリカの正義」という
問いかけがある。アメリカは「正義」と「悪」とを決めたがる。

はたしてそうなのか。

エドガーが貫き通した「FBIの正義」と「アメリカの正義」は同じ方向を向いて
いたのか、彼は一体何を遺していったか。そして何を失ってしまったか。

エドガーを赤裸々に描くことで観る者に問いかけているように感じた。

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前に見た「グラン・トリノ」もある意味で「正義」について問いかけていたように思う。
この映画は観た時よりも、時間をおくほどにじわじわと余韻のように膨らんでいく。
イーストウッド監督の次回作もまた期待をしていきたい。

J・エドガー

J

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2012年2月 7日 (火)

吉高由里子に「惚れてまうやろー!」とは言わなかったけど。「ロボジー」

弱小家電メーカー木村電器。
社長の急な思いつきでロボット博に出展をすることのなったのだが・・。

選ばれた社員はロボット工学とは分野違いの、どちらかというと窓際な3名。
そんな小林(濱田岳)、太田(川合正悟)、長井(川島潤哉)は、わずか3人で
未経験の二足歩行のロボット開発に奔走していた。ロボット博直前には
なんとか数歩歩くところまで完成したロボットが、なんと!2階から落ちて大破。

「会社を首になる・・」
頭を抱え、窮地に追い込まれた3人は、「ロボットの気ぐるみショー」の募集の
チラシを作って・・。

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一人暮らしの頑固なお爺さん(五十嵐信次郎=ミッキー・カーチス)が
ひょんなことからロボットの中に入ることになって、とても人間味(老人的な・・)
あふれる動きが世間から絶賛され人気者に。
その場しのぎの嘘のはずが、もはや後戻りできない世間の話題となってしまい・・。

おとぼけ3人組と頑固爺さんの「営業」と称する珍道中が続くんだけど、
やりとりがまた楽しい。
どう考えても『ロボットじゃこんな動きはできんだろ!』と突っ込んじゃいけません。

コメディーですから。

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ミッキー・カーチスのちょっと寂しげな頑固爺っぷりもなかなかのもの。
おとぼけ3人組のちび、のっぽ、デブの組み合わせも良い感じです。
大学に講演で呼ばれて、理系の理論派に技術的な質問に戸惑いうろたえる3人組。
だのに、それを3人が答えなくても、学生たちが「それはこうじゃないか?」と
自分たちで意見を交わしつつ結論を出してくれるもんだから、「なるほど」と
質問者も納得しちゃう、そのやりとりを目も頭も虚ろになりながら必死に記録に
残している3人の姿に(笑)

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最後はどうなっちゃうんだろ?と余計な心配をしつつ見ていると
、しっかりとオチもついて一安心。
突っ込みどころ満載だけど、可笑しくもあって温かくもあって、
観た後が気持ちのいい映画でした。

ロボジー

Robog

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