『ヒューゴの不思議な発明』
1930年代のパリ。
パリの街の中心にある駅には街を一望できる大きな時計台があった。
そしてその時計台の中には人知れずひそかに孤児の少年ヒューゴ
(エイサ・バターフィールド)が住んでいた。
彼は時計台の中からにぎやかに駅の中を行き来する人々の姿を眺めていた。
そして彼の目に留まったのは、駅の構内でおもちゃと時計の修理をするお店。
そこにはまどろむ老人店主(ベン・キングズレー)がいた・・。
老店主の寝ている隙におもちゃのネズミをヒューゴが盗ろうとしたその瞬間!
ヒューゴはその腕を掴まれてしまう。
彼のポケットからは多くの歯車・ギア、そして1冊のノート。
そのノートの中をみた老人の顔色が変わる・・。
時計台に隠れ住んでいるヒューゴ。
その大仕掛けの時計の中では、孤児であることを忘れることのできる、
彼だけの空間・大切な場所なのだ。
社会から隔離されたかのようにそこに籠り、父との繋がりの機械人形に
だけ心を許す生活を送っていた。
その現実逃避の世界を打ち壊したのが、老人パパ・ジョルジュと
少女イザベルだった。
彼が唯一大切にしていたのは、父が遺した壊れた機械人形。
これを修理することが亡き父との想い出であり、父との唯一の繋がりであった。
しかしそれは一人の偉大な映画人の人生を掘り下げていくことになっていく・・。
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映画のタイトルには「不思議な発明」となっているが、これは発明ではなく、
修理なのだ。
そしてヒューゴのした修理は機械人間の修理だけではなく、戦争によっ
て夢を打ち消されてしまった老人の心も繕ろい、そして笑顔を取り戻した。
無声映画の黎明期に偉業を残しつつも時代の変遷と失望の中に心を
閉ざしてしまった老人とそれと付き添ってきた妻の作品の数々は、
万華鏡の様に煌びやかで輝いていた。
とても優しい映画だ。
そして映画は観る人を楽しませる手品、マジックだということ。
人を驚かせ、そして多くの夢を与える映画への深い愛がこの映画には満ちている。
観終わった後、昔見た映画をもう一度観てみようかな、
そんなノスタルジックな気持ちにさせてくれる。
『ヒューゴの不思議な発明』
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